花々の意匠



いっせいに咲き誇り
またたく間に姿を消してしまう花。

古来より、人々はその一瞬の美しさや
はかなさを永遠にとどめたくて、
壁や天井への装飾、器、染織などに表現しました。

それらは大切なお守りのように、
また、願いや喜びの記憶として、心潤すものでした。

今回は、Classic Koに溢れる花々の一部をご紹介します。


 







NADESHIKO


「なでたいほどにかわいい」と例えられる「撫子」。
5枚の花弁と、細烈した上端の可憐さが
多くの人に好まれてきました。

鎌倉時代から、衣服や調度に使われ始め、
桃山時代には、高台寺に所蔵される文庫に
蒔絵で桔梗と撫子を描いたものがあります。

「大和撫子」の言葉は、清楚で美しい女性の例えとされ、
万葉集の歌には、少女の微笑む美しい姿に例えられています。

古来より、柔らかな印象を与えてくれる「撫子」には
「そうなりたいな」と願いが込められてきたのでしょうか。


 








Peony


「牡丹」は奈良時代に伝来してから、
意匠化されたのは、平安後期頃でした。
意外にも、ぐっと身近になったのは、江戸時代からと言います。
栽培、鑑賞が盛んとなり、染織の意匠に表現されました。

中国では、「富貴花」、「百花王」とも呼ばれ
繁栄や無病息災の祈りを込めて、様々に用いられてきました。

異国的雰囲気が漂う「牡丹」は、
富貴の象徴として、格調高い意匠の一つです。


 







Square Lotus


「蓮」は、花と実を同時につけることや
蓮の字音の語呂合わせにより
中国では、恋愛、結婚、子孫繁栄といった
主に結婚にかかわる幸福への願いが込められていました。

飛鳥時代に、仏教伝来と共に伝わった日本では、
正倉院の染織品や、仏像の台座を飾るなど、随所に使われてきました。

エジプトでは、太陽神や再生のシンボルとして
復活、再生を祈る儀式用容器や、副葬品に使われ、
また、芳香の良さからも、人々に愛され
手にする姿が、壁画に多く登場します。

まさに「蓮」は世界中で愛される花なのです。


 


装飾、意匠、蒔絵を通じて
歓喜、記念、祈りといった、目に見えない大切なものを
形に託していくこと、伝えることが、この仕事の愉しみでもあります。

Classic Koは、何気なく日常で使えるアクセサリーから
大切な時の記念になるようなジュエリーまで
これからも色々と制作していきたいと考えています。

トリの意匠