螺鈿(らでん)のこと
 






「まぁ、螺鈿ね!」売り場にいると
「蒔絵って何ですか」と聞かれることが多々あることに対して
螺鈿の認知度が高いことに日々驚きます。
歴史の教科書や資料集で見る「螺鈿」の作品の印象が強いのでしょうか。

貝の殻の部分を使い文様を表す技法=「螺鈿」。 
遡ること、奈良時代の正倉院宝物にも使われ
世界で見ると、エジプトの初期王朝以前からも多様されてきたと言います。

主に使用される「夜光貝」や「あわび貝」、
時には「しじみ」(!)も使われてたという「螺鈿」は、
1枚1枚の貝を敷き詰め、それらの組み合わせにより
ブルーやピンク、時にグリーン等の多様な輝きを見せます。

今回は、Classic Koのラインナップに欠かせない
「螺鈿」の技法についてご紹介します。








私たちは、まず貝をデザイン別に切り分けることから始まります。
一枚の平たい夜光貝を短冊状に切った後、このずっしり重たい道具で、
ぶちぶちっと押すように切断していきます。(写真上、2枚目)

デザイン別とは、例えばドロップ形、△形、
大きめの正方形、小さめの長方形等の種類があり、
フクロウさんにはダイヤ形を、マーメイドさんには半円形等に
切り分けて表現しています。(写真上、1枚目)

古来の詳細な方法などは定かではないものの、
鑢(やすり)か細かい糸のこのようなもので
切り込んでいたのではないかと、
このやり方は何千年とあまり違わないそうです。


 





次に、漆を接着剤として、小さな小さな貝を
木製の尖ったナイフのようなもので漆の上に置いていきます。
なんとなく、ピンセットでの設置をイメージしていたのですが
それだと時間を要するので、この道具が良いのだそう。
そして、この上にさらに漆を塗り込み、固めていきます。

「螺鈿」とは、一般的に「貝を嵌め込んだ装飾技法」等ともありますが、
これが「貝を嵌め込む」ということなのですね。



 




私たちが主に用いる「夜光貝」とは
巻貝の裏側に真珠層があり、
沖縄や暖かい南の島に生息しています。
かつて琉球王国は、「夜光貝」等の
特産品の交易により大変栄えたといいます。

貝はどんな種類のものでも使用できることから
江戸時代の画家・尾形光琳は魚屋のごみにあった
誰もが捨てて顧みなかった
「あわび貝」を初めて使用したそうです。
「しじみ貝」の使い方も想像しがたいですが、
先人の素材への探求心は興味深いものです。
 
何千年前からの変わらぬ技術、素材の変遷。
長い年月、人々を魅了し続けてきた魅力は

売り場で感じる、認知度の高さからも伺えますね。
あらためて「螺鈿」に愛着を感じていただけたら
嬉しく思います。


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